2021.3.25 グループ会社の新来島サノヤス造船が「液化CO2輸送船(圧入船Ready)」概念設計承認(AiP)を取得しました

新来島サノヤス造船は、環境省公募による「環境配慮型CCS注1実証事業」における委託業務の一環で、世界初「CO2輸送船(圧入船Ready)」の概念設計承認(AiP)を一般財団法人日本海事協会(ClassNK)より取得致しました。

本実証事業は温室効果ガス削減を背景としており、火力発電所で分離回収された液化CO2を海上輸送し、海底へ圧入・貯留させるCCSシステムの技術検討及び検証を行うものであります。同社は本実証事業のコンソーシアムメンバーである上野トランステック株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:上野 孝)から業務委託を受け船舶輸送技術の研究開発を行いました。また将来的な圧入船への転用も見据えて“圧入船Ready”としてリスクアセスメント(HAZID注2)を行い、この度のAiP取得に至りました。

本船型は、CO2の輸送作業に加え、圧入作業にも転用可能な船型として開発をしており、CO2カーゴタンク前方には、圧入サイトへの嵌合設備を含めた圧入システム専用のスペースを確保しております。右図は本船をCO2圧入船とした場合のイメージとなります。

また、主推進方式に2軸アジマス推進方式注3を採用し、船尾船型は船体抵抗が低減できるバトックフロー船型注4としています。これにより、洋上でのCO2圧入作業に要求される定点保持性能を満足するとともに、外洋航海にも適した推進性能を確保しております。

CO2は液化状態を維持するために高圧・低温とする必要があり、CO2カーゴタンクを設計・製造する上で厳しい条件となりますが、積み重ねたLPGカーゴタンクの設計・製造技術を活かし、陸上プラントより供給される高圧・低温の液化CO2の受け入れ、輸送、圧入設備への供給に適したTYPE-Cタンク注5を新たに開発しております。

この度のAiP取得で得られた知見を活かして、将来的なCO2輸送需要に応えられるよう新来島どっくグループで研究を続けていきます。

注1:CCS=Carbon dioxide Capture and Storage

注2:HAZID=Hazard Identification Study

注3:推進器自体が回転し、推進と操舵の2つの役割を併せ持つ方式

注4:船尾を切り上げたような船型

注5:独立型円筒形状タンク