2021.12.8 アンモニア燃料自動車運搬船の設計基本承認を共同取得

当社(株式会社新来島どっく)は、川崎汽船株式会社(以下、「川崎汽船」)と共同で協議・検討を進め、環境負荷低減と実運航における安全性の確保の両立を可能とするアンモニアを主燃料とする自動車運搬船の開発に取り組みました。この度、一般財団法人日本海事協会(NK)より開発した船舶の設計に対し、設計基本承認(AiP ; Approval in Principle)を取得しました。

アンモニア燃料は、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料であるため、国際海事機関(IMO)の2050年のGHG(温室効果ガス)削減戦略目標である「2008年比 GHG 総排出量 50%削減」に大きく貢献する次世代舶用燃料として注目されております。

一方でアンモニアを燃料として取り扱う際においては、その「毒性」に対する安全性を確保することが、燃料として用いるための最低条件となるため、川崎汽船、NK、当社の3社間で協議・検討を重ね、またアンモニアの「毒性」に関する漏洩リスクに対する HAZID(Hazard Identification)も実施することにより、潜在的なアンモニアの漏洩リスクに対する安全対策を織り込んだ設計としています。

重油やLNGと比較し熱量当たりの燃料体積を必要とするアンモニアを燃料と用いるため、運航上に制約がでない航続距離を満足する燃料タンクの配置を考慮することに加え、アンモニアに起因する応力腐食割れ対策等の諸問題についても既存の技術・製造設備にて製造可能でかつ現実的な材質の選定やタンクサイズの決定をすることによって、より現実に即した設計とすることもコンセプトとしております。

当社は、これまで培ってきた自動車運搬船の知見を基に、今後も環境負荷低減技術を活かし、環境規制強化に対応した船舶の開発や提供に取組んで参ります。

(AIP授与式の様子)

(左から)
一般財団法人日本海事協会 業務執行理事 副会長 重見利幸 様
株式会社新来島どっく 取締役 常務執行役員 技術設計本部長 田中義雄
川崎汽船株式会社 執行役員 造船技術グループ長 中野豊久 様